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Ⅰ現代によみがえる
縄文の森

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地底にそびえる神秘の森

三瓶小豆原埋没林

さんべあずきはらまいぼつりん

巨大な木々が茂っていた縄文時代の森。
三瓶小豆原埋没林は、縄文の森の姿を今に伝える貴重な存在です。
この森は、約4000年の間、地面の下に埋もれていました。
発掘された森はスギが中心で、その多くは幹の太さが2m前後に達する巨木です。
一部を発掘状態で公開する地下展示室には、当時のまま地面に根を張った巨木が立ち並びます。
まっすぐに伸びるスギの幹は、残っている部分だけでも高さ10mを超え、生きていた時の樹高は40m以上と推定されます。
その木を見上げると、縄文人が見た森の風景が想像できることでしょう。
その森には人による開発の手が及んでおらず、数百年から数千年の時間をかけて壮大な森が育まれたのです。

この森を今に伝える役割を果たしたのは三瓶火山の噴火でした。
木々は火山活動で発生した土石流と火砕流に襲われながらも、地形的な偶然が重なったおかげで倒されず、燃えずに深く埋もれ、奇跡的に現代まで残されたのです。

CHECK POINT

1縄文の森の発見
三瓶小豆原埋没林は、1998年の発掘調査で発見されました。それ以前から、地元では地下に埋もれた木の存在は知られていて、地区内を流れる小豆原川の河床に頂部が露出した立木が2本あったほか、氾濫で河岸が削られた時などに立木が現れることがありました。
1983年に水田の圃場整備(区画整備)の工事で2本の立木が出現しました。その時の写真がきっかけとなり、三瓶火山を研究していた松井整司氏が調査を行い、立木状態で埋もれた森の可能性を指摘、その調査結果を受けて島根県が発掘調査を実施し、発見に至りました。
2樹木の種類
三瓶小豆原埋没林の発掘調査では約30本の立木と、大小あわせて150本を超える流木が確認されました。立木では73%、流木では54%をスギが占め、直径1mを超える大径木ではスギの割合が圧倒的に多くなります。ほかにはカシの仲間、トチノキなどが混じり、約4000年前の三瓶山麓には、巨大なスギを中心として広葉樹が若干混じる森林が存在していたことが推定できます。
3地形的偶然
三瓶小豆原埋没林は、いくつかの現象によって段階的に埋もれました。はじめに、火山体の崩壊による大規模な土石流が発生し、小豆原の隣の谷を流下しました。この時、隣の谷と小豆原の谷との合流部が土砂で埋め尽くされ、土砂の一部は小豆原の谷をさかのぼって埋没林地点まで達しました。木々が立ったまま埋もれた原因のひとつは、逆流によって土石流の勢いが衰えたことでした。小豆原の谷は土砂によって「土砂ダム」の状態になり、水がたまり始めた時に火砕流が直撃しました。高温の火砕流は水で急冷されたとみられ、木々は樹皮がわずかに焦げただけでした。その後、河川が運んだ細かな火山灰が土砂ダムに厚く堆積し、立木群は10m以上の深さに埋もれました。
このように堆積した土砂は、一般的には比較的短時間で浸食されて失われるものの、下流にある稚児滝の岩盤が浸食を防ぐ働きをしたことで、幹が長いままで残されたのです。

三瓶小豆原埋没林公園
(さんべ縄文の森ミュージアム)
  • 〒694-0003 
    島根県大田市三瓶町多根ロ58-2
  • TEL:0854-86-9500

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